画像の出典:映画『太陽を盗んだ男/4Kデジタルリマスター』公式サイト、Edge Line

長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』(1979)を4Kデジタルリマスター化した『太陽を盗んだ男/4Kデジタルリマスター』が、10月16日(金)から劇場で上映される。配給は東宝。

中学校の理科教師・城戸誠(沢田研二)が原子爆弾を手作りし、国家に対峙する物語。城戸を追う刑事・山下を菅原文太が演じる。公式サイトによると、本作には『セーラー服と機関銃』『台風クラブ』の相米慎二監督が助監督として、『CURE』の黒沢清監督が制作スタッフとして参加している。

リマスターは撮影監督の鈴木達夫が監修した。オリジナル版の公開日と同じ10月6日には、令和版の新ビジュアルと、本編と同じ工程で修復したオリジナル予告編が公開され、予告編は公式YouTubeチャンネル「東宝クラシックス」で見られる。鈴木のコメントと、撮影当時の長谷川監督と鈴木を写したスナップ写真もあわせて公開された。長谷川監督は今年1月に亡くなっている。

「オリジナルの再現」とは何を指すのか

今回のリマスターは、フィルムで完成した当時の姿を再現することをコンセプトに掲げ、撮影監督の鈴木達夫自身が監修した。鈴木は、本作が色設計に多くの手間をかけた作品だったことを振り返っている。

近年の旧作4K修復では、公開後に流通したプリントよりも色が鮮やかに、輪郭がくっきりと仕上がることが多い。退色や傷、粒子の荒れといったフィルムの経年変化を「ノイズ」として取り除く作業は、47年分の物質的な時間をスクリーンから消すことでもある。多くの観客が知っている『太陽を盗んだ男』は、テレビ放送やビデオ、名画座で擦り切れたプリントを通して観たものだ。そうだとすれば、4K版は観客の記憶をなぞるものではなく、ほとんど誰も実際には観ていない「完成時の状態」に近づこうとする試みだと言える。

では、目指される「当時のオリジナル」はどこにあるのか。その手がかりは、撮影監督の記憶と残された素材にしかない。それを現在のデジタル上映の環境に置き直した時点で、すでに2026年の解釈が入り込む。作り手が存命のうちに「正解」を定め直す機会であると同時に、劣化したフィルムで観てきた私たちの記憶とのずれを確かめる場にもなるはずだ。

上映情報

  • 公開日:2026年10月16日(金)
  • 上映劇場:公式サイトの劇場情報ページで案内

Sources:

出典:映画『太陽を盗んだ男/4Kデジタルリマスター』公式サイト、Edge Line